④欧州で民主主義が後退しているのはなぜか?
「平和的(戦争なき)共存共栄」は誰しもの望みだか、人間は生存本能のため、死ぬまであらゆる意味での「競争」を強いられている。
資本主義とは人間のエゴを主体とする不朽の哲学であり、資本が求めるのは「高率」と「増殖(資本の覇権拡大)」以外の何物でもない。
資本の哲学あるいは「資本の意志」は、「資本の縄張り(覇権)の拡張」だと言える。
アメリカは、戦後の世界経済のリーダーであり、安全保障においては「世界の警察官」であった。
2010年のアメリカのGDPは約15兆ドル、中国は6,000億ドルでアメリカの2.5分の1。2024年のアメリカのGDPは約26兆ドル、中国は約18兆ドルでアメリカの1.4分の1。通貨の購買力を基にした購買力平価では、中国のGDPは2017年にアメリカを抜いている。
軍事力においても技術力においても中国は総体的にアメリカを凌駕しているが、名目上はいずれもアメリカが上位になっている。
中国がアメリカとの競争において短期間に追いつき、追い越せたのは、「効率」という資本主義の大原則において、中国共産党一党独裁体制がアメリカの民主主義体制より優れていたからだと言える。それは、5人の艦長が協議しながら戦うアメリカの戦艦と、ただ一人の艦長の判断で戦う中国の戦艦との戦いの差であり、「船頭多くして船山に登る」である。
民主主義国家では高速道路を造るのには、私有地の買収、住民の賛成、予算審議、環境問題等々の調査等で時間がかかり、完成までに最低20年はかかるが、中国では2年。経済インフラの効果が2年で得られるのと20年では競争力に大きな差ができることは言わずもがな。資本主義が求める「効率」に対する民主主義体制と全体主義体制の差がハッキリと分かる。
アメリカも日本も欧州も、先進国はすべて潜在的財政破綻状態。
アメリカの累積債務は36兆ドル、国債の利払いは約1兆ドル(150兆円=日本の国家予算の約1.5倍)で、赤字増のほとんど(4分の3)を占めている。一方、日本の累積債務は1,255兆円、国債利払いは28兆円、歳出の20%を占め、GDP(610兆円)の5%を占める。(アメリカは3%)
アメリカを筆頭に、先進国民主主義国に財政健全化は全くなく、財政破綻に向かっているところばかり…
財政金融におけるアメリカの債権者は、ドルの発行権を持つ合衆国と分離・独立しているFRBであり、FRBを構成する12の地方連銀(連邦準備銀行)の株主はユダヤ資本である。
アメリカも日本を含む西欧民主主義諸国でも、中央銀行が通貨の発行権と国家の金融政策の自由裁量権を持ち、中央銀行の株主は債務者(政府)のデフォルト(債務不履行)のリスクが高まっている。
欧米と同じく、日銀は政府から分離・独立したジャスダック市場の上場会社であるが、債務者の政府が債権者の日銀株式の55%を保有していることから、事実上日銀は政府(債務者)の子会社同然である。
先進国中、日本だけがどんなに累積債務が増えても、毎年財政が赤字続きでも、政府は「金の実る樹」を持っているのでデフォルトはあり得ない。中国の中央銀行である人民銀行は、国家の一機関であるため、日本と同様に中国の国債デフォルトはあり得ない。
日本を例外として、欧米民主主義国家体制は常に国債デフォルト、財政破綻のリスクがあるが、全体主義体制ではリスク無し。中国など専制主義国家では、中央銀行が国家の一部(例えば人民銀行)であるため、債務不履行などあり得ない体制となっている。
ユダヤ資本にとって、債務者の財政破綻や国債債務不履行の無い体制が好ましいのは当然であるが、自由が制限され、言論の自由がないような体制では肝心の資本の増殖は望めないと考えているため、苦肉の策は、民主主義体制下で戦艦の艦長を一人にすること。
よって、今日、西欧で見られる権力主義化は、資本の意志に誘導されていると見るべきである。
決して民主主義が後退しているのではなく、民主主義の修正が必要になってきたということであり、ユダヤ資本が民主主義の不都合な要因を排除し、民主主義をより効率化しようとしているのである。