目先より大局を考えることが先

左の図はドル・円の名目(実効)と購買力平価(PPP)によるドル・円相場の推移。
名目相場は中央銀行の政策や財務省(国家)の財政政策などの影響を受ける人為的相場であり、PPPによるドル・円相場は一物一価の原則で対象国における物価(インフレ)差をもとに算出。

2020年から名目相場でドルが急騰しているのは、FRBも日銀も新型コロナ対策でゼロ金利と緩和政策を進めましたが、政府の財政バラマキと相まってインフレが加速してきたため、2022年3月からFRBだけが利上げ、引締め政策に切り替え、日銀はマイナス金利と緩和を続けたことが主な原因です。

しかし、右の図で1980年台からPPPによる消費者物価、企業物価、輸出物価の推移を見るとすべて名目相場より高止まりしていることが分かります。
また、中央銀行の金融政策、政府の財政政策にかかわらず、乱れることなく円高が進行していることが分かり、中央銀行や財務省の政策は一時的に相場に影響を与えますが、恒常的ではないことも分かります。

では、恒常的円高の恒常的原因は何か?
それは、日本とアメリカの経済体質の違いです。
日本は1960‐70年代のジャパン・アズ・ナンバーワン、輸出大国と言われた時代の生産過剰、供給過剰体質を解消できずに引きずっている=日本経済はデフレ体質が続いている。

一方、アメリカの経済は常に需要が供給を上回る輸入大国であり、インフレ体質。一物一価の原則で、現在のドル・円相場をベースにマクドナルドのビックマックの値段を日米で比較するといつでもアメリカの方が高い。
従って、チャートで円高が続いているのは常に日本との比較でアメリカの物価(インフレ率)が高いことを意味します。日本よりアメリカのインフレ率が常に高ければドルの価値が円より下がり続けるのは当然。

決まっていることは、今後円高傾向に向かうことに変わりはありませんが、目先は日米金融当局の政策で変わるということ。

もう一つ忘れてはいけないことは、名目相場は長いレンジでは購買力正価に向かうということ。

恒常的相場トレンドと目先の相場展開を逃すことなく動くことが大切です。