存在しない米中対立

トランプ政権以来、アメリカは中国に対して関税制裁や半導体関連装置、部品の禁輸などで中国経済を追い込んでおり、ゼロコロナ政策の経済不況から立ち上がろうとする中国経済にとって、アメリカの経済制裁は大きな足かせとなっています。

ただ、その制裁によって中国はどんどん鍛えられ、強く大きくなりつつあることも事実。

誰もが米中冷戦だ、米中通貨戦争だと叫んでいる今。
BRICSや反米・非米諸国がドル基軸に代わる地域共通通貨の創設の準備を進めていますが、それはあくまで理想であって現実と相容れない現状。
プーチン大統領はドル基軸制廃止を口にしていますが、習近平国家主席は口にせず、ペトロダラーのなし崩しを狙っています。
すでに、中東の天然ガスは人民元で取引されるようになり、サウジアラビアとの原油取引の一部は人民元決済となりました。
アメリカはサウジアラビアや中東湾岸諸国の安全保障と引き換えにペトロダラーを得ましたが、2021年9月アフガンを最後に米軍は中東から撤退したため、最早アメリカはサウジアラビアと他の湾岸諸国の安全保障ができなくなり、ペトロダラーの特権が消滅しかかっています。

ドルの価値を支えてきたペトロダラーが消滅するとドルは終わりを迎え、昨今のドルと人民元に起こっていることを見れば誰でも人民元の勝利だと思うでしょう。

しかし、たとえペトロダラーが廃止され、ドル市場に人民元の覇権が拡大されたとしても人民元はドルに絶対に勝てません❗
その理由は、人民元がドルにペッグしているからです。
日本は1974年に対ドルペッグ(1ドル360円)を解消し、以後対ドル変動相場制になっていますが、中国は為替介入をしながら1ドルに対して人民元7.35を維持する管理変動制を採用していているので、準対ドルペッグ制なのです。

日本は経済自律とともに、戦後日本経済を繁栄に導いた対ドルペッグ制を廃止しましたが、中国のGDPは購買力平価ではアメリカを2017年から抜いているにも関わらず、事実上対ドルペッグ制を維持し、アメリカから利益を吸収し続けている状況。

つまり、中国はまだアメリカに育てられ続けているということ。アメリカは制裁を掛けて中国を引き離そうとするものの、中国はしがみついて離れません。このように、人民元がドルにペッグしている限り「ドル・人民元戦争」などあり得ない話しなのです💡

アメリカのブリンケン国務長官、イエレン財務長官、キッシンジャー氏までもが中国を訪問しているのは、強く成長した中国が弱ってきているアメリカを助ける番ではないかと説得するため…

表向きの米中冷戦も米中通貨戦争も、本当は存在しないということです。