金融所得課税強化による格差拡大

金融所得課税強化の必要性の根拠は間違いだらけ

現在、株式の譲渡益と配当は一律20%の税率が適用されていますが、これを一律25%~30%に引き上げようとしています。

宮沢税制調査会長が「日本の税率は世界的に見て低いのは間違いない」「来年以降にかけてそれなりの準備をしていくことが非常に大事だ」と発言。
なぜ金融所得課税強化が必要なのか?←日本でも格差拡大が広がっているため、富を分配することで格差是正を進めるため。また、岸田首相は不公平な税率が富裕層を優遇しているとして「1億円の壁」というグラフを紹介しました。
このグラフは、例えば所得1億円を境に所得税負担率が30%でピークとなり、そこからは所得が増えるにつれて所得税負担率が下がるため、富裕層ほど所得税負担率が低いことを表しています。富裕層ほど所得税負担率が低いのは、富裕層の所得に占める割合の大半が税率一律20%の配当や株式の売却益だからであり、そのため岸田政権は税率を引き上げることで富の分配を進めて格差是正に繋げようとしているのです💡

しかし、これには3つの問題があります✔️
①日本の税率は世界的に見て低い
日本の金融所得課税は所得税・復興税15.315%+住民税5%=20.315%
米国は37%+州・地方政府税
これを比べると日本が低いように思えますが、米国の37%は保有期間が12ヶ月以下の短期トレードに限って設定された税率。保有期間が12ヶ月以上の税率は給与所得に応じて3つの段階に分けられており、年間所得450万円以下の場合は金融所得税率0%、5000万円以下は15%、それ以上は20%。イギリスも同様で年間所得180万円以下は0%、530万円以下は10%、それ以上は20%が適用されます。アメリカもイギリスも所得が低い人ほど金融所得税率も低く抑えられているため、日本の一律20%に比べて格差是正に適した制度だと言えます⭕
また、フランス(30%)、ドイツ(26%)と高い税率ですが、総合課税に切り替えることができます☝️ つまり、所得が低い場合は総合課税に切り替えることで、実質的にアメリカやイギリス同様に段階課税と同じ処理ができるということです⭕

日本の場合は一律20%で総合課税に切り替えることもできないため、金融所得が少ない人ほど負担が大きい設計になっているのです。
よって、一律20%を一律25~30%に引き上げようと考えているわけですが、これは所得の低い人ほど税負担が重くなってしまい、格差が縮小するどころか更に拡大してしまう可能性があるのです💥

②日本の格差拡大
日本は世界で最も成功した社会主義国と言われるほど格差は小さい。上位1%の富裕層が保有する試算の割合はアメリカ42%、ドイツ24%、イギリス20%、フランス19%、日本11%で、欧米先進国と比べて格差は少なくなっています。また、贈与税、相続税は世界最高水準であり、格差が小さく抑えられていることを考えると、格差是正を目的とした金融所得課税強化は必要ないと言えます。

③富裕層を優遇する不公平な税制度「1億円の壁」グラフ
このグラフは詐欺師がよく使うグラフw
このグラフはあたかも富裕層ほど所得税負担率が低いことを表しているように見せているのですが、このグラフは申告納税者のデータだけで作成されているものなのです✔️  つまり、源泉徴収で完結している給与所得者や特定口座で取引している個人投資家のデータは反映されていません。そして、データが反映されていない給与所得者(5911万人)は申告納税者(639万人)より9倍も多いのです。

では、1億円の壁を超えて税負担率が低下している人はどんな人かというと、大企業の創業者一族で毎年巨額の配当を得ている人や企業の創業者が手持ちの自社株を売却して一時的に金融所得を得る場合など。一方で、会社員やYoutuberが1億円稼いだとしても、それは金融所得ではなく給与所得や事業所得になるため、およそ半分の5000万円の税金を納めることになります。
つまり、1億円の壁を超えて毎年優遇されている富裕層は極一部の人たちだと言え、金融所得課税強化がその極一部の超富裕層だけを対象としているのであれば、1億円の壁グラフを使って説明する意味はありますが、今回の金融課税強化は一般庶民も対象としていることから、グラフを用いて説明することは意味不明で格差は更に拡大する可能性があるのです。

そもそも、アベノミクス以降「貯蓄から投資へ」をスローガンに1億総投資社会を目指してきました。なぜ貯蓄から投資へを目指してきたかというと、日本の年金制度を保つことが難しくなり、iDecoやつみたてNISAなどの自分年金を作って国民にお願いしているわけです。そうすると、老後は公的年金の負担が少なくなり、財政へのプレッシャーが和らぐことが期待できるからです💸

そうであるにも関わらず、金融所得課税を引き上げるとなれば、ただでさえ資産運用を始めることに勇気がいるのに、ますます資産運用を始めるハードルが高くなってしまいます。メリットの少ない非課税のiDecoやつみたてNISAを外資のためにもっと使えってことですかね…

金融所得課税強化は株式市場にはマイナスになることを考えるとデメリットが大きくなるのでは…

格差是正という聞こえの良いワードを使って何かしようとしているときは、得をするのは誰なのか?を考えるといろいろ見えてくるかと思います。